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経済

「ドル危機」が二年以内にくる

「ヘッジファンドの帝王」の予言

2018年10月号

「二年以内に、心配し始める時がくるだろう。それは債務危機というより、むしろドル危機だ。私は、それが政治的、社会的危機になると考えている」
 運用資産一千六百億ドルで世界最大のヘッジファンド「ブリッジウォーター」創業者で共同最高投資責任者のレイ・ダリオ氏が最近、物騒なことを経済番組など、様々な場所で声高に言い始めた。
 あの金融危機から十年が経過し、金融、経済紙の多くが、特集で当時を振り返っている。だが、同氏に言わせれば、次の危機は十年前よりもっと酷いものになるという。一笑に付すことはできない。何しろ、ヘッジファンド界の帝王の予言なのだから。
 二〇〇八年の金融危機前までは市場平均(S&P500指数)を上回っていたヘッジファンド業界のリターンだが、危機後十年間のパフォーマンスは全く冴えないものだった。S&P500指数は〇九年初めから三・五倍になったが、ヘッジファンド業界のリターンを示すHFRIファンド指数はわずか一・七倍にとどまる。債券に投資するよりはマシなリターンという程度だ。適温経済と低ボラティリティという逆風の中で、ヘッジファンド業界は・・・