《世界の キーパーソン》クリスティア・フリーランド( カナダ外相)
米露の大統領を敵に回す「凄腕外相」
2018年9月号
今年六月、カナダで開かれた主要七カ国首脳会議(G7)でドナルド・トランプ米大統領は、通商から地球環境まであらゆる分野で孤立した。よほど悔しかったのだろう。「ジャスティン(トルドー・カナダ首相)には地獄に特別な場所が用意されている」とツイートし、ホスト役に怒りをぶちまけた。
だが、大統領の本当に手ごわい敵は、首相の盟友フリーランド外相である。一メートル五十七センチと小柄で、敬虔かつ謙虚、非常にリベラル、知的な元新聞記者は、「トランプが大嫌いなものすべてを体現している」(カナダ全国紙編集委員)からだ。
外相は、北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉から通商戦争までことごとくトランプ政権と敵対するのに、大統領はもとより、米国の政治家を個人攻撃することはほとんどない。「大西洋同盟」「自由民主主義」「規則に基づく国際秩序」という言葉で、「これを守ることが米加両国の互恵である」と辛抱強く訴え続ける。今やカナダだけでなく米メディアでも引っ張りだこなのに、大統領攻撃レーダーにかからないのはこのためだ。
カナダ・アルバータ州の、人口数千人の町に一九六八年に生まれた。父・・・
だが、大統領の本当に手ごわい敵は、首相の盟友フリーランド外相である。一メートル五十七センチと小柄で、敬虔かつ謙虚、非常にリベラル、知的な元新聞記者は、「トランプが大嫌いなものすべてを体現している」(カナダ全国紙編集委員)からだ。
外相は、北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉から通商戦争までことごとくトランプ政権と敵対するのに、大統領はもとより、米国の政治家を個人攻撃することはほとんどない。「大西洋同盟」「自由民主主義」「規則に基づく国際秩序」という言葉で、「これを守ることが米加両国の互恵である」と辛抱強く訴え続ける。今やカナダだけでなく米メディアでも引っ張りだこなのに、大統領攻撃レーダーにかからないのはこのためだ。
カナダ・アルバータ州の、人口数千人の町に一九六八年に生まれた。父・・・