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社会・文化

外務省「在外公館」

「現代の貴族」たちの酒とバラの日々

2018年9月号

かつてソ連が崩壊し、ユーゴスラビアの分裂が確実になった冷戦終結の頃、日本外務省の幹部が「これで大使ポストが大幅に増える」と相好を崩した。旧ソ連の領域に十五、旧ユーゴに六、七の新興独立国が誕生し、利権の多い大使職が増えるという期待が笑みに出た瞬間だった。あれから四半世紀以上を経て、外務省は今年度ベラルーシに大使館を開設する予定で、これで旧ソ連を構成した十五カ国全てに大使館が設置される。旧ユーゴの五カ国にも大使館が置かれ、大使が二人しかいなかった領域に二十人の大使が誕生した。
 酒とバラの日々を送る「現代の貴族」こと、外交官は海の向こうで増長し、外交特権に我が身を守られながら、国民の血税で優雅な時を今も過ごす。
 日本の在外公館は増え続け、外務省ホームページによれば、今年七月時点で大使館百五十、総領事館六十四、政府代表部九で計二百二十三を数える。この十年で二十七の公館が新設された。

上半身はアジア系、下半身はラテン系
 
大使館は閉鎖社会だ。奇天烈な大使が着任すると、伏魔殿の全体が狂いだす。メキ・・・