三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

経済

《クローズ・アップ》丸本明(マツダ社長)

検査不正「裏切り」のA級戦犯

2018年9月号


 車種を越えた統一感のある「魂動デザイン」と、内燃機関としては世界最高水準の燃費、排ガスの性能を達成した「スカイアクティブ」エンジンで業績好調のマツダが、思わぬ陥穽にはまった。
 八月九日にマツダが国土交通省に報告した、燃費及び排出ガスの抜き取り検査に関するデータの不正事件である。自動車は百台に一台の比率で、道路を実走行させて燃費や排出ガスの実データを収集、報告する義務がある。
 マツダは国交省の基準から外れた条件で走行したデータや、改竄した測定結果でクリアしていた。
 検査データの不正は昨年の日産自動車、スバル(SUBARU)に始まり、自動車業界全体に広がっており、今回もスズキ、ヤマハ発動機がマツダと足並みをそろえて不正を報告した。マツダの不正報告の台数は一千四百七十二台中の七十二台で、不正の数としてはスズキより二ケタ少ない。
 マツダ社内では「検査不正は業界全体の問題であり、台数も少ないうちの罪は軽い」という声があるという。
 とんでもない勘違いである。言うまでもなく不正はその量で罪の重みが変わるわけではない。検査データ・・・