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連載

皇室の風 第121話

ばらける選択肢
岩井 克己

2018年9月号

前回の拙稿で「かつて二択問題だった典範改正問題は多肢選択問題へと複雑化し、世論も四分五裂するのは必至」として、こうした制度論議が「今後は生身の皇族の扱いに直結して論争の的となり、皇室が渦中に巻き込まれるのは避け難い」と書いた。
 今回は、こうした認識について改めて論点を整理し説明しておきたい。
 国会は「安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等」について、天皇退位特例法施行後速やかに検討するとの付帯決議を採択している。国会、政府は、皇位継承法、女性皇族の扱いの歴史的転換という困難な課題に着手できるのか、あるいは先送りを決め込むのか。いずれにしても遠からず争点に浮上するとみられるからだ。
「万世一系」と称揚されてきた男系男子主義を見直すとすれば、皇位継承方式の選択肢は以下のようにばらける。
 Ⅰ男系男子主義の現皇室典範の継続 継承順序は①皇嗣秋篠宮②悠仁親王。将来の皇統は悠仁親王に男子が得られる場合のみつながる。「女性宮家」を認めない限り宮家は一時なくなる。
 Ⅱ直系長子主義(女系女性天皇容認)の小泉内閣有識者会議案{br・・・