絶好調「小野薬品」を覆う暗雲
オプジーボ「一本足経営」の末路
2018年9月号
薬価切り下げに伴う国内市場の縮小や特許切れに苦悩する大手製薬企業を尻目に、がん免疫治療薬オプジーボで世界を席巻した小野薬品工業(大阪市)の業績が好調だ。八月一日に発表された四~六月期の純利益は百五十二億円となり、前年同期比二九・四%も増えた。だが、見かけの数字とは裏腹に、その先行きには暗雲が垂れ込めている。政府の目指す社会保障費の抑制で高額なオプジーボがやり玉に挙がる苦境に加え、新たな薬の切り札が見当たらないのだ。
メルクが市場を横取り
言わずと知れたオプジーボは、発売開始から三年目の二〇一六年度に国内で一千三十九億円、全世界で三十七億七千万ドルを売り上げた。ところが、その一七年度の国内での売り上げは九百一億円と前年度より百三十八億円も低下した。販売当初、七十三万円だった百ミリグラムバイアルの薬価が、一七年二月に三十六万五千円に引き下げられたためだ。この余波で、一七年度の小野の製品売り上げは二千五十九億円と前年度を三・九%下回っている。
薬価引き下げは止まらない。今年四月には二十八・・・