トルコはもう死んでいる
愚かな独裁政権が招いた「経済自爆」
2018年9月号
トルコ共和国で、危機が起きている。それは、立ち直れない病といってよいだろう。
筆者は以前の記事で、エルドアン大統領と与党・公正発展党(AKP)の経済政策を高く評価した。十年ほど前のことだ。
二〇〇一年の経済危機から回復させ、成長軌道に乗せて国内をまとめた。当時、通貨リラは奇跡的に横ばいで安定し、株価は急上昇を続けた。他を見ても、トルコ経済の記事は、良い話ばかりだった。
時が経てばこうも状況は、変わるものか。通貨リラは、〇五年一月一日のデノミネーション実施以来の安値更新が続き、八月十三日に一時対ドルで七・二五リラをつけ、年初から半分ほどにまで減価した。いったいこれからどうなるのだろうか。
現状のマクロをみてみよう。①経常赤字の大きさ、②対外債務の多さ、③外貨建て債務比率の高さ、④外貨準備の不足、⑤公的部門の赤字―などを理由に通貨は下落している。他の新興国と比較して明らかに深刻なのは③と④が同時に起きていることだ。状況が一番近い国はデフォルト常連国のアルゼンチンだ。この対外均衡の崩れ方は「典型的な新興国市場の崩壊」である。{br・・・