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イタリア発「新ユーロ危機」が切迫

大衆迎合政権で国家経済「崩落」へ

2018年9月号

 ジェノバの高速道路高架橋崩落で世界を震撼させたイタリアが、国家経済崩落の危機に直面している。今春に始まったイタリア国債売りが、橋崩落後に加速した上に、「五つ星運動」と「同盟」のポピュリズム(大衆迎合主義)連立政権の迷走ぶりも、イタリアの信用不安に拍車をかけている。

落ちるべくして落ちた「高架橋」

 大衆の怒りを煽るのはポピュリストの真骨頂だが、事故後の連立政権は連日、「犯人捜し」と「責任者追及」をエスカレートさせた。非難の矛先は、高速道路の管理会社、その株主であるアパレル大手「ベネトン」社と経営陣、歴代政権、さらには欧州連合(EU)、欧州中央銀行(ECB)と、拡大する一方だ。
 口火を切ったのは、同盟の指導者、マッテオ・サルヴィーニ副首相兼内相。事故直後に「絶対に責任者を特定し、このツケを払わせてやる」と啖呵を切ると、五つ星のルイジ・ディマイオ副首相兼経済発展・労働相も負けてはならぬと、「ベネトンは、本来メンテナンスに投資すべき金を株主への配当に使った。これが橋崩壊の原因だ」と、ベネトン一族を攻撃・・・