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経済

《企業研究》三井住友海上火災

西日本豪雨と海外事業不振の「二重苦」

2018年8月号

 死者・行方不明者が二百三十人を超え、風水害としては戦後最悪ともいわれる被害をもたらした今年七月の西日本豪雨。
 広島県や岡山県を中心に、なお多くの被災者が避難所での生活を余儀なくされるなか、直後、列島を襲った殺人的猛暑とも重なって、救援・復旧活動もなかなか進まない。
 各地で土砂崩れや堤防の決壊など河川の氾濫が相次いだことで、建物の被害も甚大だった。全容はまだつかめていないものの、総務省消防庁のまとめによると、七月二十二日時点で全壊二千九百八十九棟、半壊一千二百八十三棟、一部破損一千二百五十五棟、床上浸水一万五千四十九棟、床下浸水二万百三十三棟で計四万七百九棟にものぼる。
 水に浸かったり、土砂に埋まって使い物にならなくなった車両も少なくない。日本自動車連盟(JAF)関係者によると、被害が大きかった広島、岡山に愛媛県を加えた三県だけで七千台超。全体では「一万台を超える」(事情通)とみられている。

保険金額がべらぼうになる可能性

 そんななか頭を抱えているのが損害保険各社だ。被害・・・