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経済

「SUBARU買収」 トヨタの下心

泥沼の不正問題でチャンス到来

2018年8月号

 今年七月十日に二〇二〇年度までの新中期計画を打ち出したSUBARU(スバル)。そこでいの一番に掲げた目標が「正しい会社づくり」だ。
 それもむべなるかな、というべきだろう。何しろ昨年十月に無資格者が完成車検査を行っていた不正が発覚して以来、事態の幕引きを図っては把握し切れていない不正が上塗りされるといった対応を繰り返すこと、実に四度。今年六月には燃費・排ガス試験で測定条件を満たしていないにもかかわらず、試験を有効としていた不正がみつかり、三月に公表したトップ人事を修正。当初、六月の株主総会後に代表取締役会長兼CEO(最高経営責任者)に就任する予定だった吉永泰之社長兼CEOは、膿を出し切れなかった責任をとって代表権とCEOの返上を迫られた。
 だが、さらなる不正の有無について吉永氏自身が「全くないという自信がない」と吐露するほどの企業風土。市場の評価は厳しい。新中計公表の翌十一日、スバル株は一時三千六十四円と前日終値比で百円以上落ち込み、年初来安値を更新してしまった。
 収益計画に対する投資家らの失望も一因だ。スバルが目標として掲げたのは向こう三年間の累計・・・