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社会・文化

売国政権の極み「水道法改悪」

民間・外資に「命の水」を売り渡す愚劣

2018年7月号

 六月十八日朝の大阪府北部地震。道路から噴水のように噴き上がる大量の水がテレビに映し出された。厚生労働省の医薬・生活衛生局水道課にとっては、上水道の老朽化対策を訴える絶好のチャンスだ。翌々日の二十日、通常国会の会期延長が決まると、公明党の石田祝稔政調会長は「地震を踏まえ、水道法改正案の成立を目指す」と述べ、三月九日に国会に提出されてから放置状態だった法案はにわかに可決の可能性が高まった。しかしこの改正案には、とんでもない「売国条項」が盛り込まれている。それは、「水」という生命に不可欠な財を民間企業に売り渡す「コンセッション」と呼ばれる運営方式の導入だ。
 日本は九七・九%の水道普及率を誇り、だれもがどこでも安価で衛生的な水を得ることができる。しかし、高度経済成長期に拡大した水道管路は老朽化が進んでおり、厚労省によると年間二万件を超える漏水・破損事故が発生している。特に大阪府は水道の普及が早かっただけに設備は古い。敷設後四十年以上経過した老朽化比率は二八・三%(二〇一五年度末)で、全国平均(一三・六%)の倍以上もある。
 水道事業を担う全国各地の市町村はほとんどが財政・・・