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経済

NTT「鵜浦人事」に秘められた野望

「グループ再統合」へ虎視眈々

2018年7月号

 功遂げて身退くは天の道なり―。道教の始祖・老子は“退き際の美学”を説く箴言を残したが、果たしてこの人は老子ほど枯れているのだろうか。
「やるべきことはやった。私は気持ちよく第一線を退きます」
 五月十一日、当時のNTT(持ち株会社)社長、鵜浦博夫がこう言い放って発表したグループ新体制に意外性はなかった。NTT社長は副社長の澤田純が襲い、NTT東日本社長には同社副社長の井上福造が昇格、NTT西日本社長にはNTT常務の小林充佳が転じた。抜擢は一人もなく、とりわけグループ総帥に就いた澤田の人事は、鵜浦自ら「二年前からの構想」と語っており、順当と言える。
 むしろニュースは、社長在任六年に達し、誰もが実力会長になると予想していた鵜浦の相談役への退任だった。それをめぐり通信業界には今も揣摩臆測が絶えない。
「NTT社長の任期は原則四年。鵜浦さんは二年前に交代を迫られていたのだろう。それを押し切って六年務めた以上、会長にはなれなかったに違いない」
 なるほど、歴代社長のうち六年務めた児島仁、宮津純一郎はいずれも相談役へ退い・・・