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経済

《クローズ・アップ》中村知美(SUBARU新社長)

不正事件と「対米輸出」の二重苦

2018年7月号

 この数年、「第二の黄金期」ともいわれるほど業績好調だったSUBARU(スバル)を襲った新車の無資格者による検査や燃費・排ガスデータの書き換えなどの不正事件。次々に発覚する問題は業績に影を落とすだけでなく、経営体制を揺るがした。スバルは路面グリップを失い、スピンを始めた車のようになりつつある。
 今年三月二日、スバルが発表した社長交代人事は社内外の予想通りの順当な内容だった。北米、欧州市場での売り上げ急増と国内販売の回復など好業績の立役者と目される吉永泰之氏(六十四歳)が会長になり、中村知美専務(五十九歳)が後継社長に就任する、というものだったからだ。
 吉永氏は代表権を持つ最高経営責任者(CEO)の座を維持し、中村社長は最高執行責任者(COO)という典型的な「全権掌握型会長」経営。社内や系列の部品メーカーも「吉永さんがトップを続けるのは当然。中村さんは〝営業担当社
長〟」という受け止め方だった。
 それが、五月の国土交通省のスバル本社への立ち入り検査で、風向きが変わった。四月に九車種九百三台で見つかった出荷前の燃費・
排ガスデータの書・・・