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経済

ドイツが狙う自動車部品の「覇権」

「自動運転」で圧倒される日本勢

2018年7月号

 トヨタ自動車、日産自動車、ホンダの三強がリードし、デンソー、カルソニックカンセイなど有力部品メーカーが支える日本の自動車産業。業界全体のグローバル販売台数では世界最大を誇ってきたが、足元を静かに侵食されつつある。忍び寄っているのはボッシュ、コンチネンタルなどドイツの部品メーカー群。自動車技術の革命となる「自動運転」で日本勢を圧倒しつつある。モノづくりの巧みさとエンジンやミッションなど走行系技術に過度に依拠し、「ケイレツ(系列)」重視で、オープン・イノベーションを展開できない日本の自動車産業の弱点が露呈してきた。

高まる「ドイツ3メガ」への依存

「昨年夏あたりから若手技術者の退社が続き、止まる気配がない」。大手自動車部品メーカーの人事担当役員はこう嘆く。辞めていくのは決まって半導体やセンサー、回路設計など電子系の技術者。転職先には日本のエレクトロニクスメーカーも含まれるが、中心は同業のドイツ系自動車部品メーカーだという。実際、エンジニア専門の求人雑誌でドイツ系部品メーカー日本法人の大量募集の広告が目立っている・・・