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政治

「外交の安倍」という虚名

拉致交渉で頼る森喜朗「IOCルート」

2018年7月号


「外交の安倍」が足元から大きく揺れている。米大統領トランプとの日米首脳会談は電話を含めて通算八回、トランプが就任してからまだ一年半余でその頻度の高さは歴代首相の中でも群を抜く。ロシア大統領プーチンとの日ロ首脳会談は実に二十一回に及ぶ。しかし、「安倍外交の成果」として歴史に名を刻むような実績を挙げただろうか。
 安倍に厳しい自民党の元副総裁山崎拓は「安倍の抱き付き外交の限界」を指摘する。プーチンに抱き付き、トランプに取り入る。今はまた中国の習近平に接近を図る―。その結果、「虻蜂取らず」というのが現実だ。中でも安倍にずっしりとのしかかるのが北朝鮮による日本人拉致問題だ。
 安倍は二〇〇二年九月、首相小泉純一郎(当時)の官房副長官として訪朝して以来、対北朝鮮最強硬派の政治家としてトップリーダーの座を射止めた。小泉訪朝の結果、五人の拉致被害者の帰国が実現した。ただし、それはあくまでも「一時帰国」というのが北朝鮮側の条件だった。これを覆したのが安倍だった。
「一度北朝鮮に戻せば二度と日本の土は踏めなくなる。国家の意思として帰さない」
 この安倍・・・