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連載

美食文学逍遥 第19話

デザートという終着駅
福田 育弘

2018年7月号

 フランスでは、食事にデザートはつきものだ。家での夕食でも、学食や社食の昼食でも、最後に甘いものを食べる。甘いものがなければ食事は終わらない。
 教え子の家庭にフランス人の小学生の兄弟がホームステイしたさい、昼ご飯にカレーライスを出すと、食べ終えても二人は食卓を去ろうとしない。デザートが出ていないからだとようやく気づいた教え子の母親が冷蔵庫にあったメロンを切って出すと、それを食べてようやく満足したという。
 普段の食事からこんな調子だから、ましてちょっといいレストランでの会食となれば、デザートは食事の最後を飾る壮麗なフィナーレとなり、食べるほうの期待の高まりも尋常ではない。
 現在のフランスの食事の基本は、アントレ(前菜)、プラ(メインディッシュ)、デセール(デザート)の三品構成。一九七〇年代ごろから、エリゼ宮での大統領晩餐会も三品構成だから、デザートの役割はこれまで以上に大きい。
 毎年更新されるレストランガイド『ミシュラン』では、料理の美味しい店に最高三つから一つまでの星が冠される。星のついたレストランには、シェフの名前のほか、代表的なアント・・・