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アフガニスタンが再び「テロの巣窟」に

イスラム国も蔓延る「米軍の泥沼」

2018年7月号

 シリアとイラクから放逐されたはずのテロ組織「イスラム国(IS)」が、アフガニスタンで急速に台頭している。同国では、イスラム原理主義組織「タリバン」と、ウサマ・ビンラーディン創設のテロ組織「アルカーイダ」が依然根強く巣食う。イランとパキスタンの過激派流入もあって、再び「世界のテロリスト・センター」の様相を呈している。
 六月十五日。イスラム教の断食月(ラマダン)の終わりを祝うイードの日、アフガニスタンでは、政府軍兵士とタリバン戦闘員が抱き合うという、珍しい光景が見られた。タリバンは二〇〇一年に、米国主導の有志連合軍に首都カブールを追われて以来、政府軍との抗争は十七年に及んでいる。
 今年は、アシュラフ・ガニ大統領が一方的に「ラマダン明け停戦」を発表。タリバンも「三日間の停戦」で応じた。
 一瞬の和平ムードを壊したのが、ISのテロ攻撃だ。パキスタンと接するナンガルハール州で、十六、十七日と連続して自爆テロが起こり、合計で五十人以上が死亡した。
 ISは中東での「領土」がピーク時にあった一五年に、アフガニスタンやパキスタンにまたがる地域を「ホラサン州・・・