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社会・文化

《日本のサンクチュアリ》羽田空港国際線ターミナル

天井施工で重大な「手抜き欠陥工事」

2018年6月号

 大手ゼネコン各社には「得意分野」や代々守られてきた「シマ(縄張り)」がある。たとえば、首都の玄関口である東京駅に係る工事といえば大林組の独擅場だった。だからこそ、最近の同駅丸の内駅舎保存・復原工事を鹿島が受注したときには業界が騒然としたものだ。
 いまや、国内線のみならず多くの国際線の航空機が離発着する羽田空港(東京国際空港)の工事といえば大成建設がほぼ独占受注してきた。そのため、二〇〇五年に新国際線旅客ターミナルビル計画が浮上した際に大成は是が非でも受注すべく準備を進めた。
 そしてこの「準備」がひとつの原因となって、完成した国際線ターミナルには重大な欠陥疑惑が生じている。疑惑はターミナルビルの広大な天井の耐震、強度に関するもので、ある裁判の過程で施工業者が「手抜き」を自供するという、なんとも奇妙な展開を見せている。日本の玄関ともいうべき空港ビルで、利用者の頭上に「危険な天井」がぶら下がっているのだ。

設備施工会社が起こした「裁判」

 問題の天井については後半で詳述するが、まずはなぜこ・・・