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社会・文化

愚劣極まる「森林経営管理法」

山林破壊「国富投げ売り」政策の暴挙

2018年6月号

 白書(年次報告書)を閣議にかけられない―こんな珍事が五月中旬に農林水産省・林野庁で起きた。「森林・林業白書」は通常、「農業白書」、「水産白書」とそろって、五月の連休明けに発表される。主務官庁が同じで相互に関連があるから、同時期にまとめるのは当然だ。ところが、今年は森林・林業白書の公表が大幅に遅れ、閣議決定は六月にずれ込んだ。「技術的な理由」(林野庁)と口を濁すが、国会で審議中だった森林経営管理法(以下、新法)案への影響を恐れたのは明らかだ。
 政府が大急ぎで成立させた新法だが、その本質は、国有林などの国富を民間企業に売り渡す点で、本誌が批判してきた主要農作物種子法の廃止とまったく同じ「売国法」であり、東日本大震災の特別復興税の事実上の無期限延長である森林環境税を財源に使う点で、より悪質だ。日本の将来に必ず禍根を残す。

「データ捏造」で新法成立を急ぐ

 新法は、昨年秋に安倍晋三首相の私的諮問機関である規制改革推進会議と未来投資会議で議論され、今年三月六日に政府が法案を国会に提出した。働き方改革関連法・・・