ロシアW杯の懸念「最凶フーリガン」
プーチンも重用する「暴力装置」
2018年6月号
六月十四日にロシアで開幕するサッカーのFIFA(国際サッカー連盟)ワールドカップは、ロシア・サッカー界の暗部を世界に示す場になりそうだ。ロシアのサッカーフーリガンは、戦闘力や組織力がずば抜けているばかりか、ロシアの右翼政治家や、ウラジーミル・プーチン大統領からも庇護を受け、その勢力を伸ばしている。国内リーグではライバル組織同士が乱闘を繰り返すが、国際試合となると突然共闘に回り、「世界最凶」の素顔をのぞかせる。
本家イングランドを叩きのめす
欧州のサッカーファンを驚愕させたのは、今年二月のことだった。各国のクラブチームが争う「ヨーロッパ・リーグ」のラウンド32で、スペインの強豪「アスレティック・ビルバオ」とロシアの「スパルタク・モスクワ」がビルバオのホームで対戦した際、スパルタクのフーリガンが場外で大暴れして、スペインの警察官一人が死亡した。
フーリガン同士の衝突は欧州では珍しくないが、警察官が死亡するほどの事態は、めったにない。モスクワのフーリガンは、本来なら「敵地」であるビルバオ・・・