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ユーロ加盟小国は「資金洗浄」の楽園

金融犯罪が「主要産業」の国も!!

2018年6月号

 欧州単一通貨「ユーロ」を使うユーロ圏で、巨額の資金洗浄(マネー・ロンダリング)など金融犯罪が多発している。ロシアのオリガルヒ(新興財閥)やマフィア、イタリア・マフィアが中小国の政府ごと、金融当局ごと抱き込んで組織に奉仕させるという、深刻な事態が起きている。

政府ごと乗っ取った巨大組織

 スロバキアのロベルト・フィツォ前首相は、欧州連合(EU)の西欧指導者たちから、堅実な手腕で頼りにされていた。周辺のハンガリーやポーランドのポピュリスト(大衆迎合主義者)指導部とはだいぶ違う、落ち着いた穏健派である、との評判だった。
 フィツォ氏は共産党が東欧革命で吹き飛ぶ二年前に共産党に入り、しばらくその後継政党に所属した。やがて、新党「方向・社会民主主義」を結成。二〇〇六年、四十一歳で首相に就任し、一度退陣したものの一二年に返り咲き、この春で通算の首相在位が十年に達するはずだった。
 ところが彼は魅力的な若い女性に弱かった。細身の二十五歳の美女とのデートが発覚したのは野党時代の一〇年夏。首相に返り咲いた・・・