製薬会社と大学教授「果てなき癒着」
「巨額資金提供」その全貌と詳細調査
2018年6月号
製薬大手ノバルティスファーマの高血圧治療薬「ディオバン」に関する臨床研究論文データの改ざん事件から六年が経過した。五つの大学と教授へ見返りとして、同社から奨学寄付金や講師謝礼の形で巨費が流れていた事実が明らかになり、黒い凝着に衝撃が走った。厚生労働省は新法で、製薬企業から医師に資金提供される臨床研究では双方の間で契約を結び、研究資金に対する情報の公開を義務化した。日本製薬工業協会(製薬協)は「企業活動と医療機関等の関係の透明性ガイドライン」を策定し、二〇一二年度分より製薬企業から医師への支払いを開示し始めたものの、いずれも画餅の色彩が濃い。詳細な独自調査の結果、双方の癒着の基本構図は変わっていない実態が浮かび上がったのだ。
不変の内実を暴いたのは、ジャーナリズムNGOワセダクロニクルと有志の医師たち。製薬協に加盟する七十一社を対象に、製薬業界で「C項目」と称される医師への講師謝礼や原稿執筆料などの支払い状況を調べ上げた。製薬企業の中には、社内で閲覧を許可するだけで、テキストの形で情報を提供していない企業もあった。それでも彼らは製薬企業に出向いて写真を撮り、手作業で入力した・・・
不変の内実を暴いたのは、ジャーナリズムNGOワセダクロニクルと有志の医師たち。製薬協に加盟する七十一社を対象に、製薬業界で「C項目」と称される医師への講師謝礼や原稿執筆料などの支払い状況を調べ上げた。製薬企業の中には、社内で閲覧を許可するだけで、テキストの形で情報を提供していない企業もあった。それでも彼らは製薬企業に出向いて写真を撮り、手作業で入力した・・・