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日中関係改善は「用心」が必要

毛里和子(中国政治学者)

2018年5月号


 ―北朝鮮の金正恩労働党委員長が三月下旬、電撃訪中しました。

 毛里 仕掛けたのは中国側でしょう。北朝鮮指導部の動きに何かの変化を見て、非核化や経済改革を話すなら今だ、と判断して動いたと見られます。
 金委員長と中国の習近平国家主席は意気投合したでしょう。習仲勲元副首相が文化大革命で失脚し、本人も下放された経験があるが、父親は一九七八年ごろには権力中枢に戻り、息子をずいぶん助けたはずで、金、習両氏には同じ「ぼっちゃん」気質があるようです。
 今回の会談で、「中国抜きで朝鮮半島問題は解決しない」と改めて世界に印象付けており、米朝首脳会談があっても「中国外し」はないでしょう。

 ―習主席は、憲法改正によって長期政権が可能になりました。

 毛里 昨年十月の中国共産党大会、今年三月の全人代について、「これで習独裁が固まった」という論調があるが、私はどちらも習権力の・・・