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連載

日本の科学アラカルト 93

AI時代を担う 「次世代メモリ」開発の最前線

2018年5月号

 昨年来、人工知能(AI)を巡る話題が世の中を席巻している。AIの能力が向上し続けた場合に人類が凌駕されてしまうのではないかという「シンギュラリティ問題」が注目を集める。また、コンピュータの処理速度に文字どおり革命をもたらす、量子コンピュータ、光コンピュータの実用化に向けた研究成果発表も喧しい。
 両者ともに、蓄積されたデータを高速、効率的に処理し我々に恩恵をもたらしてくれる。ということは、AIや量子コンピュータが処理する元のデータも、きわめて重要だ。いかな有能なAIや処理速度の並外れたコンピュータがあっても、入力すべきデータがなければただの機械にすぎない。
 自然、AI時代のデータ量は膨大なものになる。すでにシステム会社が、データセンター事業を大きな収益の柱とし、クラウドが浸透していることをみてもわかるとおり、データを蓄積する技術はこれまで以上に重要になる。膨大な量のデータを処理して出力されるデータの量もこれまで以上に増加し、それらも再び保存しなければならないからだ。
 現在主流となっているフラッシュメモリが、東芝に所属していた舛岡富士雄・東北大学名誉教・・・