三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

連載

新・不養生のすすめ 第14話

コーヒー「発がんリスク」の嘘
大西 睦子

2018年5月号

 最近、「コーヒーががんを引き起こす」というニュースを耳にした読者がいるだろう。ニュースの出どころは、去る三月二十八日、米カリフォルニア州(CA)上位裁判所の判事による、「CAでコーヒーを売る場合、発がん性のリスクを警告するラベルを表示しなければならない」という判決だ。
 この判決は、二〇一〇年に、CAの非営利団体「毒物に関する教育研究評議会(CERT)」が、スターバックスやダンキンドーナツなどのコーヒー生産者、流通業者、小売業者九十一社に対して提起した訴訟による。CERTは、被告が消費者に、コーヒー豆を焙煎したときに生じる「アクリルアミド」と呼ばれる化学物質にさらされることを警告しなかったことに対して告発した。警告なしで販売したコーヒーは、一カップにつき、一日最大二千五百ドルの罰金が科される可能性がある。一七年十月、セブン-イレブンは九十万ドルを支払い、和解に合意した。
 ちなみに、アクリルアミドは、紙、染料、プラスチックの製造などに使用される化学物質だ。〇二年に、スウェーデンの科学者が、食品中のアクリルアミドを発見した。アクリルアミドは、穀類、いも類、野菜類など・・・