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連載

Book Reviewing Globe 408

揺らぐ国際秩序への「処方箋」

2018年5月号

 第二次世界大戦後、米国が中心になって築いてきたリベラル・インターナショナル・オーダー(LIO=自由で開かれた国際協調主義秩序)が内外の挑戦を受け、大きく揺らいでいる。
 内では、民主主義国に共通して見られるポピュリズムの噴出である。外からは、中国とロシアに典型的に見られる国際法を無視し、自らの勢力圏を拡大する地政学の逆襲である。そうした二重の挑戦に対して、LIOを構築してきた日米欧はいかにすべきか。
 米国のシンクタンク、ランド研究所が先ごろ出版した「LIOの健全性測定」に関する報告書は、このテーマを考える人々にとってすでに必読文献となっている。
 報告書は、国際秩序を「世界政治における主要国の関係を統べるルール、規範、機構の総体」と定義する。国際秩序のもっとも重要な要素は、経済である。問題は、ここが弱ってきていることだ。
 現在、世界のモノ、カネ、サービスのフローは十年前に比べて一四%も下落している。もう一つは、自由の行き過ぎ(リベラル・オーバーリーチ)である。おそらくこれは社会が許容する限界に達しつつあるのかもしれない。
 地政学・・・