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連載

西風444

「ミナミvsキタ」の地価競争

2018年5月号

 ミナミがキタを逆転した―。三月末に発表された公示地価は、大阪人を中心とする関西の人々を驚かせた。中央区心斎橋を中心とするミナミ・エリアでは、今後も地価が上昇する可能性を秘めているという。一方で、長年一位に君臨してきた大阪駅・梅田駅周辺、キタの巻き返しはあるのか。
「短期的にはミナミが優位な傾向は続くだろう」
 大阪の不動産鑑定士はこう語る。今回、府内ナンバーワンの地価を記録した「クリサス心斎橋」は、シンガポール資本から米国ファンドへと売却された典型的な外資物件だ。また、ミナミに流れ込む中国マネーの影響も無視できない。
「中国人にとって梅田よりも難波のほうが身近だ」
 在阪の経済部記者はこう語る。心斎橋には中国人観光客が溢れ、いまだに爆買いする光景が珍しくない。小奇麗なキタと違って、派手なデコレーションまみれのミナミの街並みは中国人をはじめとする外国人観光客を惹きつける。関西空港からのアクセスがいいことが最大の売りだ。こうした「イメージ」は投資を呼び込む上で極めて重要。中国人資産家からマネーを集める上で、彼らがよく知るミナミをターゲットにすること・・・