《クローズ・アップ》奥 和登(農林中央金庫次期理事長)
生え抜き二代目は「イエスマン」
2018年5月号
農林中央金庫(農中)の次期理事長に奥和登代表理事専務(五十九歳)が昇格することが決まった。河野良雄理事長(六十九歳)に続く、農中生え抜きの二代目理事長となるが、農中内部では早くもシラケムードが漂っている。
まずは三期九年という長期政権を敷いた割には「何も達成できなかった河野体制」(農中の中堅幹部)を支え続けたのが奥氏であるからだ。「理事長がカラスは白いと言えば、『白いカラス』のリポートを二十枚でも三十枚でも提出する」(同)イエスマン。
長らく経営企画部門を歩き、農中支店での融資現場はもちろん、ニューヨークなどでの米欧投資銀行や証券会社を相手にした資金運用の修羅場の経験もない。評価されるきっかけは二〇〇八年のリーマンショックで、農中が収益の柱としてきた債券運用が天文学的な損失を出し、破綻寸前にまで追い込まれた危機だ。
金融機関からの支援は受けられず、市場で農中経営不安説が広がり、金融庁が資金注入で国有化する準備を進めるなかで、農中の出資者である全国の農業協同組合を回り、追加出資を説得して回った。その結果、総額一兆九千億円の資本増強を勝ち取り、破綻を回・・・
まずは三期九年という長期政権を敷いた割には「何も達成できなかった河野体制」(農中の中堅幹部)を支え続けたのが奥氏であるからだ。「理事長がカラスは白いと言えば、『白いカラス』のリポートを二十枚でも三十枚でも提出する」(同)イエスマン。
長らく経営企画部門を歩き、農中支店での融資現場はもちろん、ニューヨークなどでの米欧投資銀行や証券会社を相手にした資金運用の修羅場の経験もない。評価されるきっかけは二〇〇八年のリーマンショックで、農中が収益の柱としてきた債券運用が天文学的な損失を出し、破綻寸前にまで追い込まれた危機だ。
金融機関からの支援は受けられず、市場で農中経営不安説が広がり、金融庁が資金注入で国有化する準備を進めるなかで、農中の出資者である全国の農業協同組合を回り、追加出資を説得して回った。その結果、総額一兆九千億円の資本増強を勝ち取り、破綻を回・・・