三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

社会・文化

福島中間貯蔵施設で「一兆円談合」

懲りないゼネコン四社と環境省の罪

2018年5月号

 リニア中央新幹線の建設工事を舞台にした談合でゼネコン大手四社が刑事責任を問われることになった事態は、空前の建設好況時代を謳歌してきた四社に痛手となった。しかし、ある大手ゼネコンの中枢幹部が語った。「その影響を受けない聖域が、原発被害の福島県にある」。
 リニア工事の談合事件を捜査してきた東京地検特捜部が三月二十三日、鹿島、大成建設、大林組、清水建設のゼネコン大手四社などを独占禁止法違反の罪で起訴した。これをきっかけに、国土交通省をはじめとする各省庁や地方自治体が、四社に対する公共工事の指名停止処分を次々に発表した。
 その中で三月三十日、環境省が四社の指名停止を明らかにした際、国交省の方針にならって関東と中部地方での発注工事を対象にしたと説明した。リニア工事の談合対象として特捜部が立件したのが品川、名古屋両駅の新設工事のため、両駅が建設される二地方だけに限定したという理由だ。
 中川雅治環境相は指名停止に触れたその日の記者会見で、福島県の復興工事への影響について問われ、「今回の指名停止には含まれておらず、従来通りのやり方で対応する」と答えた。
・・・