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社会・文化

ニュージーランドで銘酒を醸す「日本人」

相次ぐ「独立系ワイナリー」の成功

2018年5月号

 異国の地に根を下ろした日本人が個人で造るワインに、世界の注目が集まり始めている。企業が関与する生産者では、髙島屋が株主の仏ルロワ、サントリーが所有するボルドーの格付け三級シャトー ラグランジュ、ドイツ・ラインガウのロバート ヴァイル、大塚ホールディングスが所有するカリフォルニアのリッジ・ヴィンヤーズが知られているが、近年は徒手空拳で立ち上げた独立系ワイナリーが評価されている。
「ワイン・メイド・バイ・ジャパニーズ」の震源地は、地球の裏側ニュージーランドである。なぜニュージーランド?と疑問を持つ人もいるかもしれない。確かに、ニュージーランドの本格的ワイン造りの歴史は三十年余りにすぎないが、輸出は二十二年連続で増加している。大手企業に交じって、ブティック・ワイナリーの品質向上が著しい。その代表が、「クスダ・ワインズ」と「サトウ・ワインズ」である。ワイン専門家必携のガイド「ワールド・アトラス・オブ・ワイン」に、この二つのワイナリーは掲載されている。世界のワイン地図に載ったのだ。
 ガイドブックは産地別に代表的なワイナリーのラベルを掲載している。クスダ・ワインズは北島南部・・・