三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

WORLD

北朝鮮「詐欺外交」を担う主役たち

米韓を手玉に取る三人の「革命子女」

2018年5月号

 安倍晋三首相が訪れた米フロリダ州パームビーチ。トランプ米大統領は同地で四月十八日朝、ポンペオ中央情報局(CIA)長官が訪朝し、金正恩朝鮮労働党委員長と会談したことを確認する内容を、ツイッターに投稿した。「とてもうまくいった。良い関係が築かれた」と自画自賛した。
 米政府関係者らによると、米朝の事前協議を仕切っているのは、党統一戦線部長を務める金英哲副委員長。ただ、金英哲氏は軍勤務が長く、南北軍事会談の代表や工作機関である軍偵察総局長を務めてきた。二〇一四年十一月にクラッパー前米国家情報長官と会談した実績を買われているものの、核開発問題や米朝交渉に詳しいわけではない。六月までに行われる米朝首脳会談を巡って金英哲氏を補佐している集団は別にいる。一九九四年の米朝ジュネーブ枠組み合意や二〇〇〇年のオルブライト国務長官の訪朝、〇三年から始まった六者協議などで活躍した北朝鮮外務省の外交官たちだ。
 北朝鮮外交官は総勢一千四百人ほど。彼らは海外勤務の際、貴重な外貨を稼ぐ特権を持つ人々で、北朝鮮市民の羨望の的でもある。ただ、彼らのなかでも特別なエリートの一群がいる。
「・・・