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社会・文化

《日本のサンクチュアリ》デタラメ「国有財産」管理

財務省の「大罪」は森友のみにあらず

2018年4月号

「厳しい財政事情の下、(国有財産の)活用方法や売却状況に関心が集まっており、理財局は積極的に情報開示を行っています」
 旧大蔵省の広報誌「ファイナンス」、一九九九年十一月号に掲載された編集後記の一節だ。執筆したのは時の人で、当時広報室長だった佐川宣寿氏。働き盛りの四十代になったばかりの壮年キャリア官僚は、約二十年後の運命を知る由もない。あの時に確言した「積極的情報開示」と真逆の言動で彼の人生は暗転したが、そもそも国有財産が本当に有効に活用されているのか極めて疑わしい。いま、国有財産の在り方も根幹から問われている。
 日本政府の借金が一千兆円を優に超えるのは周知の通り。冒頭の編集後記をみると、一九九九年時点で記述された「厳しい財政事情」はその後、改善していないどころか、借金は膨張の一途を辿った。
 では政府が保有している資産はいかほどの規模なのか。資産と財産はどう違うのか。それは国家のバランスシートを見れば一目瞭然だ。
 最新の二〇一七年三月三十一日付のそれを見ると「資産の部」には約六百七十二兆円が計上されている。一方の国債などの「負債の部」の合計・・・