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「日米同盟の深化」という虚構

トランプは日本をもっと突き放す

2018年4月号特別リポート

 開催されるとすれば、歴史的な米朝首脳会談は五月、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と韓国の文在寅大統領の南北首脳会談並びにトランプ・安倍の日米首脳会談は四月中に相前後して開かれる。米国にすれば朝鮮半島の非核化を実現するまたとないチャンスであるし、金委員長にとってはこれまで何度となく米国に用いてきた詐術を文大統領を利用して世界に披露しようとする。
 三月二十九日に、南北首脳会談の日程が固まり、韓国には弛緩した和平ムードさえ漂っている。しかし、そんな空気は一気に吹き飛びかねない。
 敏感に事態を察知した中国は三月二十五日から四日間にわたって金委員長を北京に呼びつけて、慎重な対応を促した。金正恩がテーブルを介して向き合うのは、トランプ大統領、ポンペオ国務長官、ボルトン大統領補佐官という米政府内でも最強硬派のトリオであって、「ディール」と称してトランプ大統領が示すかもしれないいささかの譲歩も左右の側近が阻止しよう。「対話」よりも最大限の「圧力」をトランプ大統領と一緒に唱えてきた安倍首相は、日米首脳会談で「圧力」の必要を説いたら逆に笑われるだろう。拉致問題も抱えている日本は北朝・・・