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連載

新・不養生のすすめ13

安らかに死なせない未熟な日本
大西 睦子

2018年4月号

 多くの日本人が患うがん。病気が進行すると、様々な症状による生活の質の悪化に苦しむ。特に、痛みは最も辛い症状の一つだ。そんな中、一九八六年に世界保健機関(WHO)は、世界中のがん患者を痛みから解放するために「WHO方式がん疼痛治療法」というガイドラインを提唱した。その後、痛みの管理は劇的に改善した。
 ところが、それでも取り除くことができない痛みがある。モントリオール大学麻酔科のグリゼル・バルガス・シェーファー准教授によると、WHO方式がん疼痛治療法によって、七〇〜八〇%のがん患者の痛みが軽減した。言い換えれば、二〇〜三〇%のがん患者は、痛みから解放されていない。また、コロンビア大学医療センター緩和医療サービスのクレイグ・ブリンダーマン所長らの報告によると、入院患者の約四〇%は、人生の最期の三日間に中等度から重度の痛みをもちつつ死を迎えている。
 現状、痛みで苦しむ終末期の患者には、三つの選択肢がある。一つ目は痛みを受け入れ耐えながら死を迎える、二つ目は鎮静を受けながら死を迎える、三つ目は安楽死だ。「痛みはご免、鎮静を受けたい」という読者も多いと思う。私も不養生と言・・・