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社会・文化

不妊の原因「クラミジア」感染が拡大中

少子化日本を襲う「性病」の脅威

2018年4月号


 日本の人口減少に歯止めがかからない。二〇一七年九月現在の人口は一億二千六百六十七万人で、前年同月より二十三万人減少した。今のままのペースが続くと、五〇年に日本の人口は一億人を割り込む。最大の理由は出生率の低下だが、これを助長する陰の要因の存在は見過ごされている。それは性病「クラミジア」の感染対策の不備である。政府は一九九四年の「エンゼルプラン」策定を皮切りに待機児童解消、不妊治療支援など少子化対策に力を注いできた。だが医療関係者は「クラミジア感染対策は即効性が期待されるにもかかわらず、政府の対策からすっぽり抜け落ちて、問題視もされてこなかった」(都内の医学部教授)と嘆く。それは性行為で感染するクラミジアをタブー視する日本の精神構造が、科学的な対応から目を背けさせてきたためだ。
 クラミジアは感染しても男女とも症状が比較的軽く、無治療のまま放置されるケースが散見される。慢性感染は、男性で前立腺炎や精巣上体炎、女性で卵管炎を引き起こす。女性で進行すれば、骨盤内に炎症が波及していく。女医によれば「クラミジアの慢性感染の女性を手術すると、腹腔内にはクラミジアが作り出す糸・・・