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ナイル川「水戦争」の焦眉

人口爆発エジプト「1億人」渇水危機

2018年4月号

 文明揺籃の地ナイル川で、深刻な水戦争が起こっている。青ナイルの上流エチオピアが、アフリカ最大のダムを建設しているのがきっかけだが、流域国の急激な人口爆発が事態をいっそう複雑にしている。特に人口が一億人に迫るエジプトでは、水不足に加え、ナイル・デルタの浸食や農業被害、貧困の増加など様々な危機が同時進行し、切迫した状況になっている。

検討された軍事攻撃

 首都カイロを訪れる観光客は、この国が人口過剰にあることをすぐに体感できる。
 通りにあふれる自動車、狭い小路を埋める子供や若者、ひっきりなしに声をかける正体不明の物売りたち。さらに倒壊しそうなアパート群がずらりと並ぶ。一平方キロメートル当たりの人口密度は、約二万人だ。
 エジプトは今年、人口が九千六百万人に達する。在外エジプト人約九百万人を入れなくても、早晩一億人を突破する。国土の九六%が砂漠で、水源の九七%をナイル川および伏流水に頼っている。「エジプトはナイルの賜物」と呼ばれた国は、猛烈な勢いでナイル川を呑み込んでいるのである。
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