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英国の「ロシア依存」が重症に

元スパイ暗殺事件の裏の読み筋

2018年4月号

 ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は、「ちゃんと教育を受けていないのではないか」と、英国のギャビン・ウィリアムソン国防相を嘲った。外相のボス、ウラジーミル・プーチン大統領は、「大統領選の直前に、そんなことをすると考えること自体、ばかげた、たわごと」と一蹴した。
 三月四日に英国ソールズベリーで起きた、ロシア人元二重スパイとその娘への化学兵器(神経剤)を使った襲撃事件。テリーザ・メイ英首相が「ロシアが犯人」と決めつけたのに対し、ロシア政府が嘲笑で応じている。無礼かつ傲慢な態度の背景には、プーチン政権の閣僚を筆頭に、有力オリガルヒ(新興財閥)がこぞって英国に住居を持ち、英国政治家がいかにカネに弱いかを熟知していることがある。

「ロンドングラード」の異名も

 メイ首相にとって体裁が悪いことに、事件捜査の最中に、保守党がロシアのオリガルヒから政治献金を受け取っていることが明るみに出た。一昨年から今年まで八十万ポンド(約一億二千万円)超。一人で数兆円単位の金を動かすオリガルヒには全くのはした金だが、フィリップ・・・・