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社会・文化

「種子法廃止」は国を滅ぼす大悪政

多国籍企業の「食と農業」支配が加速

2018年3月号

 コメなどの種子の安定供給を国や都道府県に義務付けている主要農作物種子法(種子法)が四月一日に廃止される。日本の食料安全保障が脅かされる恐れがあり、本誌は昨年四月・五月号で繰り返し同法廃止の危険性を指摘した。しかし、主要メディアの関心は低く、種子法の廃止自体、ほとんど報道されていない。依然として、知的財産権として種子を保護する「種苗法」や、遺伝子組み換え生物を規制する「カルタヘナ法」との混同も多い。種子法は、主食を増産するためコメ、麦、大豆を対象に一九五二年に制定された。同法に基づいて、国や都道府県の公的研究機関(農業試験場)が品種改良した種子を奨励品種に指定し、低価格で農家に販売してきた。
 種子法廃止で、品種改良や普及を担ってきた農業試験場の機能が縮小する可能性がある。公費の投入で割安だった種子は値上がりするだろう。民間企業の種子は、優れた特性を維持できるのが一代限りの種(F1)が多く、農家の自家採種はできない。種子を民間企業に依存するようになると、その品種に最適な農薬、肥料、さらに農機具を購入せざるを得ない状況に追い込まれる。ビジネス化された生産システムに組み込まれ、表・・・