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中国「一帯一路」が早くも苦境に

日本に歩み寄る「習近平の事情」

2018年3月号特別リポート

「米国の衰退と中国の台頭」があたかも世界的なキーワードになって誰も異を唱えない現象が続いている。が、米国の大統領に一風変わった人物が登場しているだけで、米国の国力は実際に弱体化しているだろうか。理屈っぽくなるが、第二次大戦前の大国と言えば、首都は相手から攻撃されにくいところに位置し、国土は広く、人口は多ければ多いほど国力があると考えられた。米国はこの条件に合っているうえ、欧米型民主主義体制、市場経済に基づく経済力、核兵器を含む強力な兵器を持つ軍隊、日進月歩の科学・技術力、ずば抜けた情報収集能力、世界の優秀大学ビッグ10をほぼ独占するかのような教育水準などを統合した国力を、「衰退している」と表現するのはあまりにも乱暴に過ぎるだろう。
 それどころか、好調な米経済の中でもひと際目立っているのがシェール・オイル革命である。ここ数カ月間続いている油価上昇が米国の石油生産を増やし、価格押し下げの要因になっている様子をまとめたニューヨーク・タイムズ紙(国際版)一月三十日付は、著名な経済史家でエネルギー問題の専門家ダニエル・ヤージン氏の次のような発言を紹介している。
「IEA(国・・・