《クローズ・アップ》吉本浩之(日本電産次期社長)
永守イズムの「一時的」継承者
2018年3月号
日本電産を創業し、四十五年にわたって陣頭指揮で急成長させた永守重信・会長兼社長(七十三歳)が社長の座を譲ることになった。後継者は、転職を重ねた社歴三年の吉本浩之副社長(五十歳)。「時代の寵児」であるカリスマ経営者の後継にしては、肩すかしの印象もある奇妙な交代となった。
吉本氏は日商岩井(現双日)から日産系の部品メーカー、カルソニックカンセイ、日産自動車を経て、二〇一五年に日本電産に入社した。日商岩井にこそ十七年間勤務したものの、その後は三、四年で転職、日産ではタイ現地法人の社長を務め、本社勤務は短い。日本電産でも買収した不振企業の日本電産トーソクの立て直しを任され、その実績で後継の座を射止めた。こうみれば、企業を渡り歩くプロ経営者そのものだろう。
渡り鳥のプロ経営者の真骨頂は、リストラによる収益改善と、怠惰でぬるま湯の企業文化の刷新にある。そうした快刀乱麻の手腕が、社員の一挙手一投足を細かく管理して業績向上につなげる「マイクロマネジメント」の永守氏と波長があった。
これまでも永守氏は将来の後継者候補として様々な人物をスカウトしてきた。シャープ社長と・・・
吉本氏は日商岩井(現双日)から日産系の部品メーカー、カルソニックカンセイ、日産自動車を経て、二〇一五年に日本電産に入社した。日商岩井にこそ十七年間勤務したものの、その後は三、四年で転職、日産ではタイ現地法人の社長を務め、本社勤務は短い。日本電産でも買収した不振企業の日本電産トーソクの立て直しを任され、その実績で後継の座を射止めた。こうみれば、企業を渡り歩くプロ経営者そのものだろう。
渡り鳥のプロ経営者の真骨頂は、リストラによる収益改善と、怠惰でぬるま湯の企業文化の刷新にある。そうした快刀乱麻の手腕が、社員の一挙手一投足を細かく管理して業績向上につなげる「マイクロマネジメント」の永守氏と波長があった。
これまでも永守氏は将来の後継者候補として様々な人物をスカウトしてきた。シャープ社長と・・・