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連載

本に遇う 連載219

予知は不可能と知る
河谷史夫

2018年3月号

 草津白根山が一月二十三日、突然噴火、飛んだ噴石に当たり十二人が死傷した。木曾の御嶽山の噴火は四年前の秋だった。山頂にいた人たちが噴石を逃げ切れず、五十人以上が犠牲になった。山に登る趣味はないが、むかし信濃に住んでいたころ、御嶽山も白根山も近くまで見物に行ったことがあるので何かしら他人事でない。
 蔵王も噴火かとテレビが伝えている。「どちら側かしら」と、山形は庄内生まれの家人が言う。蔵王は宮城と山形にまたがり、むかしの噴火口に水が貯まったお釜は宮城側だが、草津白根の噴火口は古い湯釜ではなかったというし、蔵王も思わぬところが火を噴くのではないかと思ったらしい。
 気象庁が「恐れ」を予告したら大丈夫だ。ほら、箱根も収まったからなと言うと、訝るような目で見る。俺の生きているうちに地震は来ないなどと公言していたら、七年前の東日本大震災で液状化にやられて以来、わが信用度は地に墜ちて回復していない。
 火山噴火といえば、地震が怖い。地震の予知ができるようなことがいわれ、観測網があり、学者や識者から成る「予知連絡会」なるもので専門的な検討が繰り返されているはずだから、予・・・