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習近平「強国路線」に兆す限界

春節演説から消えた「一帯一路」

2018年3月号

 中国共産党中央委員会と国務院(政府)が主催する恒例の春節(旧正月)祝賀会が二月十四日、北京の人民大会堂で開かれた。
 今年も広いホールいっぱいに円卓が並び、それを党、政府の現職高官や長老、各界要人が囲み、習近平総書記兼国家主席が新年の抱負を演説するのを聞いた。中国中央テレビ(CCTV)のカメラが習主席と会場の高官、要人の顔を交互にアップで映した。
 海外のチャイナウオッチャーはこの映像を子細にチェックして、失脚した高官はいないかどうかを確認しているが、今年は奇妙な異変が起きていた。退役組のなかにいるはずの王岐山・前党中央紀律検査委員会書記の姿が見つからなかったのだ。
 王岐山氏は第一次習近平政権では政治局常務委員の一人だったが、昨年十月の第十九回共産党大会で定年引退していた。中央委員にも残らず完全引退と見られていたが、今年一月、湖南省選出の全国人民代表大会(全人代)代表になり、三月の全人代に出席する資格を得たことが明らかになった。
 全人代では代表の互選で国家主席、副主席、全人代常務委員長、首相などの役職を選出する。今年の全人代では習近平氏が国・・・