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中国社会を蝕む「マルチ商法」の隆盛

四千万人が溺れる「経済邪教」

2018年3月号

 中国当局が「経済邪教」と呼ぶマルチ商法集団の台頭に頭を悩ませている。
 高配当を約束しながら、実際には新規会員の勧誘でまかなうという典型的なネズミ講(ピラミッド・スキーム)の手法である。手の込んだ会員の洗脳が行われ、当局との衝突も恐れない狂信者集団に発展することもしばしば。
 当局が「邪教(カルト)」と呼ぶのもこのためで、習近平政権にとって深刻な社会・経済問題に浮上している。

当局を恐れぬ狂信者集団

 中国で「ピラミッド商法」と呼ばれる、マルチ商法への狂信ぶりを天下に示したのは、昨年七月。
 北京の心臓部、天安門広場にピラミッド商法集団の一つ、「善心匯」のメンバーが大挙して繰り出したのだ。
 この直前、当局が団体の創設者、張天明氏を拘束したことに抗議したもので、集会には約一万人が参加。さらに一部は横断幕を持って天安門広場内に入り、人間の輪を作った。顔を隠さない若者が、解散を求める警官隊に猛然とまくしたて、さらに女性メンバーが必死で警官隊に食い下がるという光景が展開され・・・