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連載

西風441

万博誘致「パリ撤退」は朗報か?

2018年2月号

「もうちょっと頑張ってくれよ、というのがホンネだ」
 関西に拠点を置く某大手メーカーの広報担当者はこう語った。一月二十一日、フランス・パリが二〇二五年の万博誘致から撤退するとのニュースが突如として流れ、大阪府、市は対応に追われた。折しも、府や市、地元財界などが博覧会国際事務局(BIE)の本部があるパリに、事務所を開設するための準備中だった。この広報担当者は、「フランスには撤退してほしくなかった」とこぼす。
 BIEのお膝元であるパリは今回の「本命」とみられていただけに、大阪にとっては強力なライバルが消えたことになる。開催地が決定する十一月のBIE総会に向けて、残された大阪の敵はロシアのエカテリンブルク、アゼルバイジャンのバクーだ。今後、大票田であるアフリカや中南米に対する投票工作が加速していくが、客観的に見て現時点では両国よりもリードしているようだ。
「招致活動くらいならお付き合いするが、実際に万博が開催されたら手を引きたいというのが関西財界の大部分の声」
 全国紙財界担当記者はこう語る。誘致委員会のトップは、「財界総理」ということで経団連の榊原・・・