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WORLD

東欧諸国に寄せる「ファシズム」の波

EU分断する「新たな鉄のカーテン」

2018年2月号

 欧州連合(EU)の東半分が、「先祖返り」に突き進んでいる。東西冷戦時代と同様に、「ミニ・プーチン」のような小型独裁者が出現したり、世論操作にたけたポピュリストが政権を握ったりと、おかしな指導者が次々と登場。EUの「自由と民主主義」の理念に、新たな鉄のカーテンがひかれたように、東はEUと逆方向を進む。
 ポーランドで大ヒット中の風刺コメディーが、今の東欧をたくみに描いている。「委員長の耳」と題された劇は、独裁者である「委員長」に、お付きが次々と現れて、耳にささやくという単純な設定だが、ユーチューブで一千万の視聴を得た。皮肉られているのは与党「法と正義」のヤロスワフ・カチンスキ委員長である。
 カチンスキ氏は二〇〇六~〇七年に、双子の弟レフ大統領の下で首相を務め、「双子政権」を実現した。元は映画の子役で、一九六〇年代公開の映画「月を盗んだ双子」に出演以来、知名度は抜群だ。レフ大統領は一〇年、特別機がロシア・スモレンスク郊外に墜落して死亡。「法と正義」が政権奪還した一五年以降、カチンスキ氏は政府職につかず、党執務室にこもりきりで院政を敷く。アンジェイ・ドゥダ大統領、マテ・・・