Book Reviewing Globe 405
アジアに広がる中国の「威圧力」
2018年2月号
今世紀に入ってからの中国の経済、軍事両面でのパワーの増大は目覚ましい。しかし、そのパワーがどれほど他国に対する影響力につながっているのか。なかでも、東南アジアの戦略的要衝である国々に対する影響力はどうなのか。
最初に、ミャンマー。ミャンマーの貿易の三分の一は対中貿易である。中国にとってミャンマーは主要貿易相手国ではないが、雲南省にとってはミャンマーとの国境貿易は死活的に重要である。また、中国は同国への最大の投資国である。この中には、二〇〇七年から建設が始まったミッソンダムプロジェクトも含まれている。
しかし、一〇年頃を境に、政治・外交面では離中姿勢が目立ち始めた。その年、ミャンマーでは二十年ぶりの総選挙が行われ、野党が政権を握った。この過程で、環境保護団体を中心にミッソンダム建設反対運動が激化し、ミャンマー政府はダムの建設中止を発表した。
欧米には、ミャンマーが対欧米シフトに舵を切ったとの見方もあるが、「このケースは例外的であり、これを過大視するべきではない」とある。同国政府は、同じく国内で批判の強かったチャオピュー・昆明間の石油・ガスパイプライン・・・
最初に、ミャンマー。ミャンマーの貿易の三分の一は対中貿易である。中国にとってミャンマーは主要貿易相手国ではないが、雲南省にとってはミャンマーとの国境貿易は死活的に重要である。また、中国は同国への最大の投資国である。この中には、二〇〇七年から建設が始まったミッソンダムプロジェクトも含まれている。
しかし、一〇年頃を境に、政治・外交面では離中姿勢が目立ち始めた。その年、ミャンマーでは二十年ぶりの総選挙が行われ、野党が政権を握った。この過程で、環境保護団体を中心にミッソンダム建設反対運動が激化し、ミャンマー政府はダムの建設中止を発表した。
欧米には、ミャンマーが対欧米シフトに舵を切ったとの見方もあるが、「このケースは例外的であり、これを過大視するべきではない」とある。同国政府は、同じく国内で批判の強かったチャオピュー・昆明間の石油・ガスパイプライン・・・