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社会・文化

東京地検「スパコン詐欺」の落とし所

特捜部が「安倍側近記者」を狙う事情

2018年1月号

「財務省、文科省ときて、次はいよいよ経産省か……」
 二〇一七年十二月五日、東京地検特捜部によるスーパーコンピューター開発会社、ペジーコンピューティングの齊藤元章社長の逮捕は、年の瀬の霞が関に動揺を広げた。齊藤氏は、省エネスパコンで世界的評価を得る気鋭のベンチャー経営者。経済産業省は所管の「新エネルギー・産業技術総合開発機構」(NEDO)を通じ、その研究開発を支援してきたが、事業費を水増し請求して助成金四億三千百万円を騙し取った容疑により、齊藤氏は司直の手に落ちた。
 今や「モリ・カケ・スパ」と言われる。まるで炭水化物のオンパレードのような符牒だが、森友学園への国有地払い下げで財務省が指弾され、加計学園への獣医学部認可で文部科学省が怨嗟の的となる中、ついに特捜部が動き、スパコン助成金で経産省を槍玉に挙げつつ、安倍晋三政権の闇にメスを入れ始めた、と見られているのだ。
 というのも、齊藤氏は安倍総理、麻生太郎副総理の“お友達”であり、とりわけ、新し物好きの麻生氏は齊藤氏を「スパコンの国士」と絶賛していた。新た・・・