美の艶話25
頭でする前戯
齊藤 貴子
2018年1月号
付け文。これがいわゆるラブレターのことだと知る人は、今やぐっと少なくなってしまった感がある。が、どういうわけか昔から、この古式ゆかしい言葉が好きでたまらない。やけに改まった文章に、やむにやまれぬ恋心を滲ませて、ある日突然、思いがけないタイミングで手渡される一通の手紙―。そんな恋文の本分を、語呂や字面からそこはかとなく伝え、イメージさせてくれるからだろうか。
でも、メールやライン全盛のこのご時世、付け文という言葉以前に、紙に手書きの恋文、ラブレター自体が非常に珍しいもの、もしくは一昔前の恋愛ツールと化しつつある。それも当然。いつでもどんな場所でもすれ違うことなくすぐさま連絡がつき、どんな危険な恋の証拠もタップやクリック一つであっという間に消去できる圧倒的な利便性には、何事も何者も抗えない。とりわけインターネットやスマートフォンに生まれながらに馴染んできた二十一世紀のデジタルネイティブ世代にとっては、証拠隠滅はともかく通信速度に難ありという点で、アナログな手紙なんぞ初めっからお呼びではないのだろう。
ただし、どんなにツールが進化しても、それを使う人間は変わらない。・・・
でも、メールやライン全盛のこのご時世、付け文という言葉以前に、紙に手書きの恋文、ラブレター自体が非常に珍しいもの、もしくは一昔前の恋愛ツールと化しつつある。それも当然。いつでもどんな場所でもすれ違うことなくすぐさま連絡がつき、どんな危険な恋の証拠もタップやクリック一つであっという間に消去できる圧倒的な利便性には、何事も何者も抗えない。とりわけインターネットやスマートフォンに生まれながらに馴染んできた二十一世紀のデジタルネイティブ世代にとっては、証拠隠滅はともかく通信速度に難ありという点で、アナログな手紙なんぞ初めっからお呼びではないのだろう。
ただし、どんなにツールが進化しても、それを使う人間は変わらない。・・・