三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

連載

皇室の風 113

継承儀礼の過剰感Ⅰ
岩井克己

2018年1月号

 現天皇の退位は平成三十一年(二〇一九年)四月三十日、皇太子の即位と改元は同五月一日と決まった。折角の元日改元の好機が見送られたのは残念だ。
 元日は四方拝や「新年祝賀の儀」で宮中が多忙だからとか、三月末は国会審議や統一地方選で慌ただしいといった末節の理由づけは、何度聞いても腑に落ちない。政府も宮内庁も十分な説明責任を果たさず、不透明感は拭えない。
「一月七日の昭和天皇三十年式年祭を現天皇が自ら行いたがっている」とも取り沙汰されるが、事実ならば「陛下、幾らなんでも我儘と見られます」と側近は忠言しなかったのだろうか。
「在位三十年の奉祝と感謝」のイベントを盛り上げたい思惑もお堀の内外にあるとすれば本末転倒だろう。昭和天皇の在位六十年奉祝以来、皇室の奉祝行事に時の政権の「便乗」めいた思惑が取り沙汰されてきたのも事実だ。
 年度替わりの四月一日改元説は朝日新聞が書き、多くのメディアも追随したが、昨年十二月一日の皇室会議の直前になって五月一日説が急浮上して、一気に決まった。何が起きたかは窺い知れない。
 皇室会議でも五月一日改元に疑問を呈する声・・・