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社会・文化

日本の国力をもっと上げる秘訣

大村 智(ノーベル生理学・医学賞受賞者/北里大学特別栄誉教授)

2018年1月号

――日本は大村先生の受賞をはさみ、二〇一四~一六年の三年連続でノーベル賞を受賞しました。科学大国になったと胸を張れますか?

大村 世界的に見ても日本の科学は進んでいる。中国が論文を増やしているが、内容から言えば日本と比べものにならない。歴史をたどれば、ノーベル賞をもらう時は、国力が盛んな時でもある。日本にはまだまだやる気のある研究者が育っている。
 問題はこれをもっと上げるにはどうするか、だ。中堅研究者の論文発表ペースが下がっているという、心配な兆候がある。今の日本は、どっちに行くか、境目の時代にいる。こういう時こそ、「底」をしっかりさせることだ。

―教育の充実ですね。

大村 それも小学校から必要だ。
 オーストリアの動物行動学者コンラート・ローレンツに「子供の時に肉体的に辛い経験をさせないと、大人になって不幸になる」という至言がある。小学校ではしつけ、人づくりが最も大事。肉体的に苦労したこと、頑張ったことが報われる楽しさを教えること・・・